十二粒 嫉妬 ―檜山―

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「……せんせーは優しいけど、それ以上は僕を満たせてくれないんだね」 寂しげに視線を落とすが、オオカミ少年のせいか本当か演技か分からなくて戸惑ってしまう。 「先生でいる時は、誰にでも平等です。でも君が本当に困って傷ついているなら、少しだけ君を優先にしますよ」 そう取り繕い笑うと、南野くんは俺をまっすぐ見る。 「本当?」 「はい」 「僕、せんせーが好きで胸が苦しいんだけど、どうしたら良いの」 …………。 「取り敢えずね、抱いて欲しい。相性とかあるし。それに僕だって冷めるかもしれないし。それからだって遅くないよー?」 「君はもっと自分の体を大事にするべきです。第一、一度抱いて冷めるなら抱かない方がマシです。そんなふしだらな交際認めれません!!」 まだ高校生なのにこの達観したというか諦めた考え方は頭痛がするレベルではない。 何のトラウマがあるか分からないが、有り得ない。 「俺は何があろうと未成年の君の体を大切にしますからね」
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