十二粒 嫉妬 ―檜山―

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南野兄がもっとスマートにユーリの傷を包み込むような情熱があったら危なかった。 なんて。 呑気に、そんなとりとめもない事を考えていた。 弟の南野楪くんの暗躍も知らずに。 その日は、面接指導後にラグビー部の練習試合や休みの日の部活動についてや、今週行われる持ち物検査などの打ち合わせがあり、帰りがいつもより遅くなった。 まぁ月曜と水曜と金曜は大体職員会議が入る事が多いから仕方ない。 遅いと分かっているからユーリを何も誘わなかったんだし。 他の先生たちも帰り始め、戸締まりを確認しようと渡り廊下に差し掛かった時。 校門前のコンビニに、友人の車が見えた気がして目をやると、 「!?」 3年の加賀くんと友人の雨宮がキスしている現場を目撃してしまった。 加賀くんは驚いて回りに見つかっていないかキョロキョロあたふた。 友人の雨宮はしれっと口元だけで笑っている。 どいつもこいつも、場所やら立場やら考えないで!
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