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『…………わかりました。他人を部屋に呼ぶのは初めてなので不備はあるかと思いますが』
堅い! ただの友人の俺を呼ぶぐらいでそんなに畏まらなくても良いのに。
「はい。楽しみにしてますね」
『――ああ』
ちょっと不服そうなユーリの声が愛しい。
例え教授からのアドバイスで仕方なく誘ったにしても。
ユーリに誘えるような相手は俺しか居ないんだろうから。
うん。悪くない。わくわくする。
そのままぶっきらぼうに『じゃあ』と電話は切られた。
まるで初めて人を好きになったみたいに、
ユーリを愛しく思う。
甘く切なく苦く。
それと同時に。
――抱いてしまえば距離は縮まるのに。
なんて思ってしまう。
また南野兄みたいな野獣が現れて傷ができる前に、
俺でトラウマを克服してしまえばいい。
優しくする。大事にする。
君が一歩近づくなら俺も二歩近づくよ。
「あーあ。清人たちのキスに当てられたかな」
窓を全開にして夜風に辺りながら帰ろう。
頭を冷やしたら、清人と加賀くんにもっと慎重な行動をとるように説教しなくては。
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