十二粒 嫉妬 ―檜山―

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『…………わかりました。他人を部屋に呼ぶのは初めてなので不備はあるかと思いますが』 堅い! ただの友人の俺を呼ぶぐらいでそんなに畏まらなくても良いのに。 「はい。楽しみにしてますね」 『――ああ』 ちょっと不服そうなユーリの声が愛しい。 例え教授からのアドバイスで仕方なく誘ったにしても。 ユーリに誘えるような相手は俺しか居ないんだろうから。 うん。悪くない。わくわくする。 そのままぶっきらぼうに『じゃあ』と電話は切られた。 まるで初めて人を好きになったみたいに、 ユーリを愛しく思う。 甘く切なく苦く。 それと同時に。 ――抱いてしまえば距離は縮まるのに。 なんて思ってしまう。 また南野兄みたいな野獣が現れて傷ができる前に、 俺でトラウマを克服してしまえばいい。 優しくする。大事にする。 君が一歩近づくなら俺も二歩近づくよ。 「あーあ。清人たちのキスに当てられたかな」 窓を全開にして夜風に辺りながら帰ろう。 頭を冷やしたら、清人と加賀くんにもっと慎重な行動をとるように説教しなくては。
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