十三粒 鈍感  ―加賀美―

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レポートだらけの机の上の全てをクローゼットに押し込んだ。 ベットにソファにテレビに本棚、そして机。 物は全然無くさっぱりしてはいるけれど、机の上だけはどうしても片付けるのは苦手で、億劫で、書類や本を積み上げてしまう。 ホラー映画はポップコーンが定番だと教授が言うのだが、作り方がイマイチよく分からない。 それに檜山ならば、甘いもの好きなのでキャラメルポップコーンの方が好きだろうし。 『もし映画の鑑賞中に手を出してくるような奴なら、友達にもなれないから離れなさい』 教授はそう言った。 だから密室で二人っきりとか好きではないが、檜山ならばギリギリ我慢できるだろう。 何回かあいつの部屋には泊まってしまったわけだし。 コンコン 「……はい?」 ノックされたので、机の上を整えながら答えると扉が開かれた。 「ドタバタしてるけど、何してるんだ? ご飯はテーブルに出来てるぞ」 夜勤明けの兄さんが今起きてきたのか欠伸をしながら言う。 ちょっとウェーブかかった茶色の髪に、垂れ目で眉はつり上がった、患者曰く甘いマスクの王子さま。
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