十五粒 嫌がらせ ―加賀美―

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本当に檜山はお昼に来なかった。 お陰でビフテキ弁当とキムチを甘い香りで汚される事なく美味しく食べる事ができた。 ただ冷蔵庫に入っている3つ入りのプリンの賞味期限は今週の金曜日まで。 奴が来ないなら破棄してやるが、 ――約束したんだから来ないか。 俺は窓を開けて、建物を見上げる。 「先生! 何か御用ですか!?」 窓にしがみついて手を振る南野兄に、ずっとこっち見てて視線がウザいと思いつつも、雑な指示をする。 「保険だよりのチェックが終わったからコピーするように委員会の奴らに言っといて下さい」 「畏まりました!」 先日の南野兄の狂言はクラスの皆が見ていたから、俺と南野兄の窓越しの会話に、中庭にいた奴も南野兄のまわりにいた奴らもざわめく。 だがこれで更に牽制ができる。 南野兄は馬鹿で単純でアホだから、トラウマを抱えた俺を守らねばと使命に燃えている。 奴に伝言を頼む奴らも増えてきたから、更に保健室に皆の足が遠退く。 ――全校生徒800人に対し今日の保健室利用者は一人だ。
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