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利用者一人と言っても。
「せんせー、恋の処方箋ってありますかー?」
「――頭の弱い人の薬はありません」
南野弟だからほぼ0だ。
火曜日のお昼休み。
からあげ弁当を頬張る俺の前に、ゆらりと現れやがった。
「今日は保健室甘くなーい。檜山せんせー来てないのー?」
「……さぁ」
ふぅん、と首を傾げると何故か意味ありげに視線を近づける。
「僕ね、3年の加賀って人の鞄に煙草入れてきたんだ」
ふふん、と得意気に弟は笑う。
「――馬鹿ですか?」
「檜山せんせーのジャケットに1本入ってたの見つけて」
「……?」
この前、俺の自宅で奪われたあの煙草かな?
こいつ人のジャケットを漁って人のカバンに煙草を入れるなんて、何を考えてるんだ。
「檜山せんせーなら放課後の個人レッスンで加賀って人に会うでしょ? 気づいたらどうすると思う?」
「何が言いたいんですか?」
「あの3年が特別なら庇うと思うんだよね。僕」
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