十五粒 嫌がらせ ―加賀美―

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「馬鹿は言わない。君はどうするんですか?」 ぶりっ子してるが、遊んでそうでチャラいくせに。 それでも一途に檜山を思えるのか? 「うーん。頭は冷静なんだけど、身体はせんせーが欲しいんだよねぇ」 「…………」 兄は見た目が獣だが、弟は中身が野獣か。 だが南野弟の目は寂しそうに揺れていた。 本気は本気なのかもしれない。 あんな奴に叶わない恋をしなくていいのに。 ベランダから出ると、職員室に入る檜山の背中が見える。 アイツは1週間経ったら、なに食わぬ顔で保健室に顔を出すのだろうか。 もう会いたくないと思う。 会いたくも声も聞きたくない。 全て知った今、俺は――……。 10年以上人と関わるのを逃げてきた俺は、家族意外と喧嘩や遊ぶ事など知らない。 ましてや恋の仕方なんて――……。 甘いお菓子みたいな香りー……。 なんで檜山はあの子と正反対の可愛げもない、甘くもない俺に、気をもたらせたのだろうか。 俺が傷つかないとでも思っていたのか。
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