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「馬鹿は言わない。君はどうするんですか?」
ぶりっ子してるが、遊んでそうでチャラいくせに。
それでも一途に檜山を思えるのか?
「うーん。頭は冷静なんだけど、身体はせんせーが欲しいんだよねぇ」
「…………」
兄は見た目が獣だが、弟は中身が野獣か。
だが南野弟の目は寂しそうに揺れていた。
本気は本気なのかもしれない。
あんな奴に叶わない恋をしなくていいのに。
ベランダから出ると、職員室に入る檜山の背中が見える。
アイツは1週間経ったら、なに食わぬ顔で保健室に顔を出すのだろうか。
もう会いたくないと思う。
会いたくも声も聞きたくない。
全て知った今、俺は――……。
10年以上人と関わるのを逃げてきた俺は、家族意外と喧嘩や遊ぶ事など知らない。
ましてや恋の仕方なんて――……。
甘いお菓子みたいな香りー……。
なんで檜山はあの子と正反対の可愛げもない、甘くもない俺に、気をもたらせたのだろうか。
俺が傷つかないとでも思っていたのか。
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