十五粒 嫌がらせ ―加賀美―

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駄目だ。くそ苛々してきた。 水曜の職員会議は嫌でも顔を会わせなきゃならないと思うと苛々が積もる。 「おい。南野、南野猛っ」 「何ですか!?」 三年なのに何で部活に行ってるのか知らないが体操服の南野は呼び止めると、タックルしそうな勢いでUターンしてきた。 「プリンは好きですか?」 「プリン?」 まぁこんな熊みたいな奴じゃ好きなワケないか。 「金曜に、この1週間のご褒美にあげますよ。保健室の冷蔵庫から勝手に取って下さい」 「え!? わっ ありがとうございます! やっべ、嬉しい!」 「……俺のじゃないですけど」 聞こえないような小さな声で呟くと、小躍りして喜ぶ南野兄を置いて職員室に向かう。 「あ、先生っ」 ギュッと白衣を引っ張られ、ぞくりと身体を震わせた。 「……あ、すみません」 「いえ。何か?」 まだまだ不意打ちのボディタッチは身体が反応してしまうらしい。 「あの、なんか顔色悪いし苛々してるみたいだけど、ちゃんと寝てます?」
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