十五粒 嫌がらせ ―加賀美―

13/28
前へ
/405ページ
次へ
薬を飲みすぎたのか頭がダルくてはっきりしない。 そんな気だるい朝。 「失礼します! あとおはようございます!」 「!?」 学校に着いてすぐ、保健室の鍵を開けちょっとドアを開けた瞬間だった。 そのドアをしっかり掴んで離さないのは、――檜山。 「離してくれませんか?」 「何で貴方は四日会わないだけでネガティブな方へ行くんですか!?」 質問に質問を返すのは失礼なんじゃないかと思いつつも、『四日会わないだけ』に苛々する。 「別に四日会わないなら一生会わなくてもいいと思いますけど」 ツンッと言うとするりと隙間から保健室に入る。 檜山にガードされて閉められないけど。 「えっと何でそんなに突き放すんです? 昨日のメールだって。何かあったんですか?」 ……お前は何も無かったと言うのか。 あの三年に優しく触れていたくせに。 「お話する事はありません」 「ユーリ!」 ビクッ 檜山が大声を出すから、ドアを握る手を緩めてしまう。 ピシャン 檜山はドアを後ろ手で閉めると、保健室へ入ってしまった。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4237人が本棚に入れています
本棚に追加