十六粒 目隠し  ―檜山―

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ネクタイを頭の後ろで縛ると、少しだけユーリは身体を強張らせた。 怖いはずなのに。 君は自分より弱い女子数名に無理矢理こんな事されたのだろう? そんな女子より強い俺に組み敷かれるなんて怖いだけのはずだ。 俺に何を伝えたいのだろうか。 「早く、触って下さいよ」 「……あまり挑発しないで」 どれだけ俺がユーリの前で理性をフル回転していることか。 怖がらせたくなくて良い人ぶって、 嫌われたくなくて、ちゃんと一週間保健室に近寄らなかったのに。 「あいつらは、乱暴にボタンを外した。何個か弾けとんだ気がします。後ろ手に縛られてたから抵抗できませんでしたけれど」 「ユーリ?」 「その手で記憶を塗り替えて下さい」 そう震えながら、言う。 ――俺が? 「俺でいいの?」 関係が発展する期待を抱いてしまうほど、その責任は重いと思うのだけど。 「お前がいい……」 そう言って俺のスーツの裾を掴む。
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