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ネクタイを頭の後ろで縛ると、少しだけユーリは身体を強張らせた。
怖いはずなのに。
君は自分より弱い女子数名に無理矢理こんな事されたのだろう?
そんな女子より強い俺に組み敷かれるなんて怖いだけのはずだ。
俺に何を伝えたいのだろうか。
「早く、触って下さいよ」
「……あまり挑発しないで」
どれだけ俺がユーリの前で理性をフル回転していることか。
怖がらせたくなくて良い人ぶって、
嫌われたくなくて、ちゃんと一週間保健室に近寄らなかったのに。
「あいつらは、乱暴にボタンを外した。何個か弾けとんだ気がします。後ろ手に縛られてたから抵抗できませんでしたけれど」
「ユーリ?」
「その手で記憶を塗り替えて下さい」
そう震えながら、言う。
――俺が?
「俺でいいの?」
関係が発展する期待を抱いてしまうほど、その責任は重いと思うのだけど。
「お前がいい……」
そう言って俺のスーツの裾を掴む。
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