十七粒 恋情  ー加賀美ー

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触れる手は熱くても優しいのに。 抱き締めてくれる熱は、気持ちが良いのに。 キスは荒々しい。貪欲に求めて絡めて……離さない。 口の中で逃げる舌は捕まえられ絡まって行く。 息が上手く吸えなくて、『ひゅっ』と喉から音が漏れる。 絡み合う音が、頭の天辺から俺を痺れさせる。 鼻で息を吸えば良いのだと気づいてからは、――舌の動きが気持ちよくて。 キスが甘く感じた。 「いた……い」 「ユーリ?」 「これ以上吸ったら、唇腫れます……」 息もきれきれにそう言うと、檜山の目元が甘くふんわり細める。 「止まらなくてごめん」 俺の目尻に指先が触れる。 生理的に溢れてしまった涙を掬い上げてくれた。 「辛いからって俺から逃げようとしても、無駄だからね」 「でも、また他の人とイチャイチャしてたら、俺は全力で逃げます」 「しません」 そんなに軽く言われても、信じられない。 同じ相手とイチャイチャしてたコイツなんか。 勝手に俺のペットボトルの水を飲んでいる檜山を、疑い深く睨み付ける。
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