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触れる手は熱くても優しいのに。
抱き締めてくれる熱は、気持ちが良いのに。
キスは荒々しい。貪欲に求めて絡めて……離さない。
口の中で逃げる舌は捕まえられ絡まって行く。
息が上手く吸えなくて、『ひゅっ』と喉から音が漏れる。
絡み合う音が、頭の天辺から俺を痺れさせる。
鼻で息を吸えば良いのだと気づいてからは、――舌の動きが気持ちよくて。
キスが甘く感じた。
「いた……い」
「ユーリ?」
「これ以上吸ったら、唇腫れます……」
息もきれきれにそう言うと、檜山の目元が甘くふんわり細める。
「止まらなくてごめん」
俺の目尻に指先が触れる。
生理的に溢れてしまった涙を掬い上げてくれた。
「辛いからって俺から逃げようとしても、無駄だからね」
「でも、また他の人とイチャイチャしてたら、俺は全力で逃げます」
「しません」
そんなに軽く言われても、信じられない。
同じ相手とイチャイチャしてたコイツなんか。
勝手に俺のペットボトルの水を飲んでいる檜山を、疑い深く睨み付ける。
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