十七粒 恋情  ー加賀美ー

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「んの!」 思いきり押しやると、その拍子に俺まで後ろに倒れてしまう。 「俺は……具合悪いんです」 ベットに沈みながらそう言うと、檜山は俺を覗き込む。 「酷いことはしてない。ユーリが望むことしかね」 さらさらと髪を撫でられる。 気持ちが良い。 人に触れられるのってこんなに気持ちが良かったんだ。 指じゃなく、手のひらで。 手のひらじゃなく胸に引き寄せて。 胸に引き寄せるだけじゃなく、腕で捕らえて。 どんどんエスカレートしていく。 もう止まらないのだろう。 全身から檜山を求めてしまう。 「逃げ出したいです」 「逃がさないよ。足りないなら、元気になってからね?」 子供をあやすようにそう檜山は諭す。 この感情は何なんだろう。 何で沸き上がってきて、溢れて溢れて俺を苦しめるんだ。 「俺は、檜山に出会った事を後悔しない日はないでしょうね。この先ずっと」 そう毒を吐くのに檜山は蕩けるように笑う。 「じゃあ、その何倍も出会って良かったって思う甘いキスをあげますよ」
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