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「んの!」
思いきり押しやると、その拍子に俺まで後ろに倒れてしまう。
「俺は……具合悪いんです」
ベットに沈みながらそう言うと、檜山は俺を覗き込む。
「酷いことはしてない。ユーリが望むことしかね」
さらさらと髪を撫でられる。
気持ちが良い。
人に触れられるのってこんなに気持ちが良かったんだ。
指じゃなく、手のひらで。
手のひらじゃなく胸に引き寄せて。
胸に引き寄せるだけじゃなく、腕で捕らえて。
どんどんエスカレートしていく。
もう止まらないのだろう。
全身から檜山を求めてしまう。
「逃げ出したいです」
「逃がさないよ。足りないなら、元気になってからね?」
子供をあやすようにそう檜山は諭す。
この感情は何なんだろう。
何で沸き上がってきて、溢れて溢れて俺を苦しめるんだ。
「俺は、檜山に出会った事を後悔しない日はないでしょうね。この先ずっと」
そう毒を吐くのに檜山は蕩けるように笑う。
「じゃあ、その何倍も出会って良かったって思う甘いキスをあげますよ」
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