四粒  悪ガキ ーside檜山ー

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「まだ怒ってるんですか? 加賀美先生」 不機嫌そうな顔で、俺を蹴り起こした美人は煙草を吸っている。 「怒ってない。今は完全犯罪の計画を立てています」 不機嫌そう、じゃなく不機嫌なのは、俺が昨日キスしてしまったから。 酔うとすぐ眠ってしまうので、友人の一部からは苦情が偶に沸くんだ。一人限定だけど。 でも腹を割って話すには、お酒が一番だと思って、酔わないように気をつけたのに。 加賀美先生が、そこらの女性より綺麗な顔をしているのも悪いと思う。 「っち。髪に煙草の匂いが染み付いた。早く帰ってシャワーを浴びたい」 「シャワー、貸しますよ?」 「これを吸い終わったら帰ります!」 そう怒鳴ると、綺麗な指先で煙草を消した。 白く透き通ったその肌が、一睡もしてないという疲れからか、より一層艶や憂いが生まれて、 ――なんだかイケない気持ちになってしまいそうだ。 「お邪魔しました。もう来ません」 「送りますよ」 足早に去る加賀美先生に、キーケースを取りながら慌てて追いかけた。
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