十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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南野弟とあの女の子を送った後、最後に檜山は俺を送った。 けれど、家の前に停めた車の中、檜山は俺の手を握ってきて、何か言いたげに瞳をせつなげに揺らす。 言葉を選んでいる。 俺の事を思って? だから。檜山のネクタイを引っ張って、重ねるだけの軽いキスをした。 ――友人の妹というには抱きついたりして、親密すぎじゃないか? ――男同士は体だけで楽なのは本当か? そんな気持ちを、伝えるのが億劫で。 キスで塞いで、閉じ込める。 「そんな軽いキスで、ユーリは満足なの?」 「は?」 「言い訳するけど、ただヤりたい盛の高校生と一緒にはしないでほしい。俺は身体目当てなら女に手を出す方が楽なだから」 「……その言い方もあまり素敵ではないですけど」 ただ抱き締められた。ぎゅうっと。 檜山からは甘い香りがする。 人を恋焦がせるような、狂おしくなるような、 甘い媚薬のように俺を刺激するその香りで。 俺を包み込む。
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