十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「なっ」 何でそんなっ そんな事を言わなくちゃならないんだよ。 そう睨むのに、檜山はもっと俺を睨み付ける。 熱く、全身を舐められているような眼差しで。 「ユーリは言葉にして、もっと俺に愛されてる自覚を持つべきです。言って。この口で」 親指が俺の口をこじ開けるように侵入してくる。 なんで檜山がこんなに苛立ち怒るのか俺には分からず、怖い。 「震えてるけど、怖いの?」 「……やめっ」 「でも止めない。感情をぶつけられて怖いのは、ユーリが逃げて理解しようとしないからだ」 突き刺さるような視線に全身が熱くなる。 違う。 違うんだ。 俺は、檜山の立場を心配しただけだ。 家を継ぐ立場の檜山を俺は……。 「檜山……」 口の中が檜山の味がする。 じわりと広がった涙が、視界を奪っていく。 滲む檜山が、俺の口から指を離した。 「キスじゃ俺の気持ちが分かりませんか?」
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