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この行為は怖い。
怖い。
自分の意思とは違う。
熱を帯びて押さえられない。
「ど、退いて下さい」
震える手で檜山の体を押し上げたら、檜山は唇を尖らせ俺の手を握り締めた。
「言葉よりキスをねだる方がユーリは簡単なのかもしれないけど。俺だってユーリの口から聞きたい」
「――っ」
「声に出して、認めて、心で、体で、俺を好きって自覚して欲しい」
唇をなぞり、指先に口づけ、額と額を合わせる。
檜山の熱は俺を体の芯から温める。
正しい行動ができなくなるぐらい。
今だってこんなにぐずぐずにされているのに。
声に出して認めたら、俺は壊れてしまいそうだ。
「少しでも俺が好きなら、俺を満たして?」
不安げに瞳を揺らす。
いつも自信満々に人を口説くくせに。
俺からの言葉を聞かないのがそんなに不安なのか。
「…………」
ネクタイを引っ張ると、檜山の体重を全身に感じた。
耳さえ真っ赤で熱くなる。
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