十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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まるで首筋にキスをするようなスレスレまで唇を寄せて。 寄せすぎて耳に唇が当たった。 その瞬間、全身がピリピリと痛んだ。 恋しくて恋しくて。 その痛みを吐息のように吐き出す。 ――――好、……きです。 その瞬間、全身に広がる甘い熱が、じゅくじゅくと俺を溶かしていく。 ――それがずっと聞きたかった。 檜山は熱い吐息と共にそう吐き出した。 「お前は今までこんな気持ちをずっと抱えてたんですか?」 そう尋ねると、檜山は甘くバカみたいに眉を下げて笑う。 「こんなって……?」 こんな、です。 ピリピリと相手を思うと電撃が走るような。 息もできないような。 そんな、痛みを。 「これが人を好きになる痛みだから」 震える俺を抱き締めて、笑う。 ありがとう、と。 好きになるならば、相手も同じぐらい自分を思っているならば、 相手を安心させて幸せにしてあげたいと思った。 相手を……慈しむ。
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