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まるで首筋にキスをするようなスレスレまで唇を寄せて。
寄せすぎて耳に唇が当たった。
その瞬間、全身がピリピリと痛んだ。
恋しくて恋しくて。
その痛みを吐息のように吐き出す。
――――好、……きです。
その瞬間、全身に広がる甘い熱が、じゅくじゅくと俺を溶かしていく。
――それがずっと聞きたかった。
檜山は熱い吐息と共にそう吐き出した。
「お前は今までこんな気持ちをずっと抱えてたんですか?」
そう尋ねると、檜山は甘くバカみたいに眉を下げて笑う。
「こんなって……?」
こんな、です。
ピリピリと相手を思うと電撃が走るような。
息もできないような。
そんな、痛みを。
「これが人を好きになる痛みだから」
震える俺を抱き締めて、笑う。
ありがとう、と。
好きになるならば、相手も同じぐらい自分を思っているならば、
相手を安心させて幸せにしてあげたいと思った。
相手を……慈しむ。
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