4235人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
「も、もういいですよね?」
未だに上からのし掛かっている檜山にそう言うが、檜山は尻尾を振るかのように上機嫌で退かない。
「は、離れて下さっ」
「いやだ」
嫌だ、なんて。
こんな時だけ年下みたいな甘えを吐きやがるとは。
「すぐ一人で勝手な思い込みするんだから、離れたくない。ずっとこうしていたい」
グリッと下半身の熱い物が当たった気がして、全身がぞくぞく震える。
「俺は嫌、です。離れ、て」
押しやって、片手でドアノブを探す。
「もう一人でぐるぐるしないって約束してくれるなら」
「します、しますって」
内心では、そんなの自分の勝手だろと思いつつも、はやくこの甘い雰囲気から逃れたくてそう言う。
渋々立ち上がり座席を戻したかと思うと、今度は前からぎゅっと抱き締められた。
「――でも、離れたくない」
「しつこ!い!ですってば!」
腕の中で暴れても檜山は離れようとしない。
最初のコメントを投稿しよう!