十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「も、もういいですよね?」 未だに上からのし掛かっている檜山にそう言うが、檜山は尻尾を振るかのように上機嫌で退かない。 「は、離れて下さっ」 「いやだ」 嫌だ、なんて。 こんな時だけ年下みたいな甘えを吐きやがるとは。 「すぐ一人で勝手な思い込みするんだから、離れたくない。ずっとこうしていたい」 グリッと下半身の熱い物が当たった気がして、全身がぞくぞく震える。 「俺は嫌、です。離れ、て」 押しやって、片手でドアノブを探す。 「もう一人でぐるぐるしないって約束してくれるなら」 「します、しますって」 内心では、そんなの自分の勝手だろと思いつつも、はやくこの甘い雰囲気から逃れたくてそう言う。 渋々立ち上がり座席を戻したかと思うと、今度は前からぎゅっと抱き締められた。 「――でも、離れたくない」 「しつこ!い!ですってば!」 腕の中で暴れても檜山は離れようとしない。
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