十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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仕方ないから諦めてキスをした。 突然で目を見開く檜山に。 苛々したから、乱暴なキスを。 舌を吸いながら甘噛みしてやる。 あんなに嫌だと怖いと思っていた、自分自身に欲情してくるその視線を、 今は此方から操りたくて、誘うような艶を含んだキスをする。 余裕もないくせに、俺に酔えば良いんだと、 そう思わせるのは檜山だけだった。 檜山がやっと俺のキスに応えて舌を動かし始めた時、 後ろ手で車のドアを開けて唇を離した。 「それでは、おやすみなさいエロ野郎」 「え!? ちょっ ユーリ!」 バタンと勢いよく閉めると、急いで降りてこようとしている檜山に思いっきりあっかんべーをしてやると、家に入った。 檜山と二人きり、もしくは密室は危ない。 普段はすかした嫌な野郎だが、二人きりになるとこんな甘えてくるならば何とか対策しなくては。 でも。 もしや。 恋人なら甘くなければ駄目なのか?
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