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仕方ないから諦めてキスをした。
突然で目を見開く檜山に。
苛々したから、乱暴なキスを。
舌を吸いながら甘噛みしてやる。
あんなに嫌だと怖いと思っていた、自分自身に欲情してくるその視線を、
今は此方から操りたくて、誘うような艶を含んだキスをする。
余裕もないくせに、俺に酔えば良いんだと、
そう思わせるのは檜山だけだった。
檜山がやっと俺のキスに応えて舌を動かし始めた時、
後ろ手で車のドアを開けて唇を離した。
「それでは、おやすみなさいエロ野郎」
「え!? ちょっ ユーリ!」
バタンと勢いよく閉めると、急いで降りてこようとしている檜山に思いっきりあっかんべーをしてやると、家に入った。
檜山と二人きり、もしくは密室は危ない。
普段はすかした嫌な野郎だが、二人きりになるとこんな甘えてくるならば何とか対策しなくては。
でも。
もしや。
恋人なら甘くなければ駄目なのか?
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