十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「ユーリはなつかない、気位の高い猫みたいだ」 「分かる分かるぅ。少しでも撫でたら引っ掻くようなさ、ちょっと人慣れしてない猫だよねぇ」 ドーナツと珈琲を片手に、女子高生みたいな会話をするのは、 滝澤教授と檜山だった。 なんで休みの土曜なのに、この二人は保健室に来たんだろうか。 外で部活生の声はするが、保健室のある棟は鍵がかかっており、そのせいでこの二人も解放的だった。 帰れ。いっそ消えてしまえ。 「邪魔ですけど?」 なるべく冷静に言うのに、二人は全然止まらない。 「冷たい。冷たいわ。貴方たち上手くいってないの?」 「ユーリったらツンデレですから」 「檜山先生! 学校では名前じゃなく名字で呼んで下さいね!」 イライラしながらenterキーを強く押すと、わざとらしく檜山は肩を竦めた。 「じゃあはっきりして下さい」 「そーよ。そーよ」 「…………」 「この後、俺とドライブするか」 ドーナツを濡れた舌で舐めながら挑発的に檜山が言う。 「僕と映画館デートするか」 足を組み直し、ドーナツを持ちながら流し目の滝澤教授も。
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