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「ユーリはなつかない、気位の高い猫みたいだ」
「分かる分かるぅ。少しでも撫でたら引っ掻くようなさ、ちょっと人慣れしてない猫だよねぇ」
ドーナツと珈琲を片手に、女子高生みたいな会話をするのは、
滝澤教授と檜山だった。
なんで休みの土曜なのに、この二人は保健室に来たんだろうか。
外で部活生の声はするが、保健室のある棟は鍵がかかっており、そのせいでこの二人も解放的だった。
帰れ。いっそ消えてしまえ。
「邪魔ですけど?」
なるべく冷静に言うのに、二人は全然止まらない。
「冷たい。冷たいわ。貴方たち上手くいってないの?」
「ユーリったらツンデレですから」
「檜山先生! 学校では名前じゃなく名字で呼んで下さいね!」
イライラしながらenterキーを強く押すと、わざとらしく檜山は肩を竦めた。
「じゃあはっきりして下さい」
「そーよ。そーよ」
「…………」
「この後、俺とドライブするか」
ドーナツを濡れた舌で舐めながら挑発的に檜山が言う。
「僕と映画館デートするか」
足を組み直し、ドーナツを持ちながら流し目の滝澤教授も。
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