十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「「さぁ、貴方はどっち?」」 二人にドーナツを差し出された。 人がデータ入力をしている時に、本当にこいつらは。 苛々しながらも俺が奪い取ったのは――……。 「いいの? 檜山くんしょんぼりしてましたよ?」 「知りません。大体、舐めたドーナツなんて汚い。馬鹿じゃないですか?」 ふんっと鼻であしらうと、滝澤教授はオーバーリアクションで両手を挙げた。 「ツレないねぇ。檜山くんはMなのかな?」 な訳あるか。 あいつは絶対Sだ。 「まぁ、じゃあ久しぶりに君を独り占めしちゃいますか」 教授はサングラスをかけると、黒のスポーツカーの助手席のドアを開いた。 「さ、どうぞ。お姫さま」 「殴りますよ」 乗り込むと、教授から奪い取るようにドアを閉めた。 それに檜山は午後からは部活がある。 ただ構ってほしいだけのパフォーマンスをいちいち相手になんかしない。
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