十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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海岸沿いに沿って車を走らせながら、日が暮れ始めた茜色の海を眺める。 もはや教授のサングラスは意味を持たない。 「お昼前に出発しませんでした?」 「なんかこの前行った場所のレストランで食事しようとしたんだが、……てへ」 てへ、じゃない。 「『こんがり焼き死体』って映画は隣の市でしかやってなくて。あれ、検査医が死体がよくできてるって言ってたから」 「そんなの俺、見たくないですよ!?」 散々だ。 ずっと座りっぱなしで疲れたって言うのに。 「じゃあ、あそこに入りますか」 チカチカと輝くお城みたいなラブホテル。 じゃなくその隣。 カップルで溢れかえったレストランに車を止めた。 「んー。ラブホ帰りかラブホに行く前のリア充で溢れかえってますね」 「……下品です」 「僕たちも間違われたりしたら、嫌だよねぇ。全く」 じゃあこんな所にしなきゃいいのに。
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