十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

13/21

4235人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
「晴れて両思いになったわけだけど」 「ハンバーグ」 「僕に聞きたいことあるんじゃない?」 「あ、やっぱりこの無駄に高いステーキで。焼き方は選べないんですね」 「受けの先輩の僕に」 「教授は何を食べるんですか?」 会話が噛み合わないだけじゃなくウェイトレスを待たせているのに、 肩肘をつき、優雅に喋る教授には、似合わないオムライスを頼んでやった。 「僕に聞かなくて良いの? ……痛いよ?」 フゥッと溜め息を溢す教授のせいで珈琲を飲む手が止まる。 ……いや、気にしない。気にしない。 「大体、彼ってノンケだよね?」 気にしない。気にしない。 「それより教授、ゲイのくせにどうして結婚したんですか?」 考えたくない話題から反らしたはずが、……もっと聞きたくなかった話題だから自然と舌打ちしてしまう。 「んー。バイ寄りのゲイだから? あと、奥さんの父親に土下座までされて仕方なくお見合いしたら、当日結婚式だったから?」 んー?と教授は呑気に首を傾げる。
/405ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4235人が本棚に入れています
本棚に追加