十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「息子さんもいて、彼氏も居るんですか……。へぇ」 なんかもうどれから驚いていいか分からない。 できれば知りたくなかった。 「そうなんだよー。君、自分以外の人に興味無かったでしょ? でも最近、檜山くんのおかげで丸くなったし檜山くんという恋人もできたし。 これで生々しい恋バナできるよねぇ」 「しませんよ!」 生々しい話なんて死んでもしない。 「でも、一人で溜め込むより話した方が楽だよ。 檜山くんは恋人なんだし、ちゃんと話を聞いて、してあげなきゃね」 「…………」 教授が何で今日俺を誘ったのはこの為か。 俺が初めてその、人を好きになったから。 発熱もしたし。 アドバイスしてくれようとしてる。 共有してくれようと。 滝澤教授のゼミは人気だったのに、声をかけてくれたのは教授からだった。 『うん。僕もゲイだから分かるよ。君は能力あるから、一緒に乗り越えようか』 ――だから俺はこの人を尊敬しているんだ。
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