十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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「それをね、正直に言えばいいんだよ。格好つけずに、ね」 素直に。 それが一番難しい。 自分を守るためならばいくらでも壁は作れるが、 壁を壊す檜山を待つのではなく、 俺が壁を取り外さなければいけないのだとしたら。 「考えすぎ。考えすぎ」 結局ご飯を食べただけで、真っ暗になった海を見ながら帰路に着く。 車の中でも窓の外ばかり見て考えていたら、教授に笑われた。 「ほら、悩むより先に、彼を安心させてあげなさい」 家のちょっと前の坂で、車は止められた。 「ほら、電話でもしてあげたら?」 ニヤニヤ笑う教授を睨み付けつつ、車から降りると、仕方なく。 仕方なく、スマホを取り出す。 電話は1コールで出た。 『ユーリ?』 「……今から会っても良いですけど」 『本当に!? やば。ワイン飲んでしまった…』 一瞬だけテンションが上がったかと思うと、すぐにションボリとそう返された。 なんだか誘った俺が罪悪感を植え付けられるぐらい。 「俺が車出しますよ」
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