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車でマンション前に着くと、電話を入れる前に既に檜山が立って待っていた。
黒のセーターにダボッとしたジャージを履いて、部屋着のままなんて、ちょっと檜山らしくない。
身嗜みに気が回らないぐらい動揺している?
「何ですか、その間抜けな顔は」
目をパチパチさせた檜山の顔を見るのは面白くない。
もうちょっと喜ぶと思っていたのに詰まらない。
「いや、ちょっとびっくりして。何かあの教授とあったの?」
「恋話だけですけど」
まだ信じれないのか俺の表情を伺う檜山に苛々が募る。
「乗らないんですか?」
「あ、乗るけど、なんか言われたから来たんじゃないの?」
まだ疑うのかと思ったら馬鹿らしくなってきた。
「自分の意思で来たのに。もう良いです。死んでください!」
「あ、ユーリ!」
エンジンをつけると窓を閉めた。
「待って!」
檜山はその窓に手を入れてきて阻む。
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