十九粒 戸惑い  ー加賀美ー

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ムカつくし甘いものばかり食べてて気持ち悪いやつなのに。 なのに、なんで。 「そんな顔しないでよ」 切なげに檜山が顔を歪ませる。 「――我慢できなくなる」 我慢なんてしないくせに。 俺は今、どんな顔を奴に向けているのだろうか。 ちょっとだけ不安になって顔を背けてみたが、そんな俺に檜山は躊躇なく触れてきた。 その温もりが俺の心臓を鷲掴みして、息さえできなくするんだ。 優しい指先が頬を、唇を、触れては離れてもどかしい。 まだ、体を受け入れるのは少し怖い。 怖いというか自分がどうなるのか想像もつかない。 唇をなぞる指先を舌で撫でると、檜山は眼鏡を乱暴に外した。 翻弄されるだけは悔しかったから、自分からも仕掛けてみるが、それは檜山を煽るだけでしかない。 抱き締められて、背中を窓ガラスに押し付けられる。 いつも饒舌な檜山が、喋るのも忘れて夢中で唇を貪る。 こんなに激しい檜山を、俺は全て受け入れられるのか不安だ。
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