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ムカつくし甘いものばかり食べてて気持ち悪いやつなのに。
なのに、なんで。
「そんな顔しないでよ」
切なげに檜山が顔を歪ませる。
「――我慢できなくなる」
我慢なんてしないくせに。
俺は今、どんな顔を奴に向けているのだろうか。
ちょっとだけ不安になって顔を背けてみたが、そんな俺に檜山は躊躇なく触れてきた。
その温もりが俺の心臓を鷲掴みして、息さえできなくするんだ。
優しい指先が頬を、唇を、触れては離れてもどかしい。
まだ、体を受け入れるのは少し怖い。
怖いというか自分がどうなるのか想像もつかない。
唇をなぞる指先を舌で撫でると、檜山は眼鏡を乱暴に外した。
翻弄されるだけは悔しかったから、自分からも仕掛けてみるが、それは檜山を煽るだけでしかない。
抱き締められて、背中を窓ガラスに押し付けられる。
いつも饒舌な檜山が、喋るのも忘れて夢中で唇を貪る。
こんなに激しい檜山を、俺は全て受け入れられるのか不安だ。
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