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ユーリが可愛い。
いや、ツンツンして素直じゃない所も大好きだったけど、こう……甘えてくれる時とか。
ちょっと上目遣いで俺を見るから分かっちゃうんだよね。
ああ、今は抱き締めて欲しいのかな?って。
抱き締めたから嫌がる素振りをするけど、抵抗はしないし。
何だろう。食べちゃいたい。
頭からがぶかぶ食べたい。骨まで残さない。
甘く蕩けるようなユーリを見たい。
「浩二くん、何をにやけてるの?」
冷ややかな目を向けられて、現実に引き戻された。
「いや、つい恋人の事を思い出して」
にへっと笑うと今度は後頭部に容赦ない痛みが走る。
「お前、殴らせろ。じゃなきゃ帰れ」
缶ビールと生ハムのサラダを乱暴にテーブルに置くと俺を睨み付ける。
「酷いな。お前と薫ちゃんの仲を取り持ってやったろ、清人」
俺がサラダを皿ごと奪うと、清人は忌々しく舌打ちした。
切れ長の瞳に無造作に伸ばされた黒髪。
無口なくせに、存在感だけで人を圧倒させる。
「お前は俺の憂斗を巻き込んだろ。馬鹿が」
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