20粒 欲情 ー檜山ー

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ユーリが可愛い。 いや、ツンツンして素直じゃない所も大好きだったけど、こう……甘えてくれる時とか。 ちょっと上目遣いで俺を見るから分かっちゃうんだよね。 ああ、今は抱き締めて欲しいのかな?って。 抱き締めたから嫌がる素振りをするけど、抵抗はしないし。 何だろう。食べちゃいたい。 頭からがぶかぶ食べたい。骨まで残さない。 甘く蕩けるようなユーリを見たい。 「浩二くん、何をにやけてるの?」 冷ややかな目を向けられて、現実に引き戻された。 「いや、つい恋人の事を思い出して」 にへっと笑うと今度は後頭部に容赦ない痛みが走る。 「お前、殴らせろ。じゃなきゃ帰れ」 缶ビールと生ハムのサラダを乱暴にテーブルに置くと俺を睨み付ける。 「酷いな。お前と薫ちゃんの仲を取り持ってやったろ、清人」 俺がサラダを皿ごと奪うと、清人は忌々しく舌打ちした。 切れ長の瞳に無造作に伸ばされた黒髪。 無口なくせに、存在感だけで人を圧倒させる。 「お前は俺の憂斗を巻き込んだろ。馬鹿が」
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