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先日の加賀くんの鞄に煙草が入ってた事件で殴らせろと言われてたけど、
薫ちゃんを説得して清人との仲を取り持ったんだから帳消しのはず。
「じゃあ私、帰る」
「送るよ」
「送る」
俺たちが立ち上がると薫ちゃんは吹き出した。
「良いってば! 駅にお父さんが迎えに来てくれるから」
そう笑う彼女には、清人を怒鳴り付けていたあの時の様子は微塵もない。
吹っ切れたようだった。
「――お前も帰れ」
玄関まで見送った俺に顎で差す。
でも俺は妖しく笑ってそれをはね除ける。
「あのさ、もしかして高校生に手ぇ出してないよな?」
「さぁな」
踏み込んだ話だったせいか不機嫌になり、煙草を吸いにベランダへ出る。
だがあれは手を出した後だ。間違いない。
「俺の恋人も、好きな人とは初めてでさ、なんとか最高の日にしたいんだけど。
高級ホテルに極上ワインにイケメンな俺ってベタすぎだよなぁ?」
「キモい」
バッサリ切られると逆に清々しいけども。
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