20粒 欲情 ー檜山ー

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「なんか可愛くない清人と話してたら、恋人に会いたくなってきた……」 「さっさと消えろ」 しっしっと手で追い払われる。 大学時代から、清人は俺に冷たい気がするけど、 清人も恋人の前では甘いケーキのようにとろけるのだろうか。 手には車にスタンバイさせていた某有名店のクッキー。 もし夜分に尋ねても、印象悪くないようにする為に。 「夜分遅くにすみません。ユーリさんに会いたくなっちゃいました」 そう押し掛けたら、ちょうど仕事に行く準備をしていた母親が出てくると、嬉しそうにユーリを呼んでくれた。 「ユーリさん! 恋人の浩二くんよ!」 そう二階に叫ぶと、ドタバタとユーリが走ってきた。 「誰が恋人ですか!!」 真っ赤な顔で叫ぶユーリは、――何だか色っぽい。 どうやら、風呂上がりのようだった。 気だるくタオルで髪を拭きながら降りてくる。 普段結んでいる髪が下ろされ、濡れた髪が艶めいて。 「恋人じゃないの?」 そう聞き返すと、頬を染め下を向いて口元をタオルで隠した。
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