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「なんか可愛くない清人と話してたら、恋人に会いたくなってきた……」
「さっさと消えろ」
しっしっと手で追い払われる。
大学時代から、清人は俺に冷たい気がするけど、
清人も恋人の前では甘いケーキのようにとろけるのだろうか。
手には車にスタンバイさせていた某有名店のクッキー。
もし夜分に尋ねても、印象悪くないようにする為に。
「夜分遅くにすみません。ユーリさんに会いたくなっちゃいました」
そう押し掛けたら、ちょうど仕事に行く準備をしていた母親が出てくると、嬉しそうにユーリを呼んでくれた。
「ユーリさん! 恋人の浩二くんよ!」
そう二階に叫ぶと、ドタバタとユーリが走ってきた。
「誰が恋人ですか!!」
真っ赤な顔で叫ぶユーリは、――何だか色っぽい。
どうやら、風呂上がりのようだった。
気だるくタオルで髪を拭きながら降りてくる。
普段結んでいる髪が下ろされ、濡れた髪が艶めいて。
「恋人じゃないの?」
そう聞き返すと、頬を染め下を向いて口元をタオルで隠した。
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