20粒 欲情 ー檜山ー

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「今日は連絡ないから……来ないかと思ってたんですけど」 そう冷たく言うと後ろを向いた。 けど。 耳が赤いのは風呂上がりなのか俺が来たからか。 「拗ねた?」 「拗ねてません」 「この前の女の子たちを仲直りさせてたんだ」 「俺には関係ありません」 と言いながら、これはかなり拗ねているようだ。 一応律儀にスリッパを出すあたりは、家に上がってもいいらしい。 ペタペタとスリッパの音を立てて二階に上がるユーリを見つめていると、此方を振り替える。 「何してるんですか?」 「じゃ、お邪魔します」 にっこり笑ってそう言うと、タオルを投げつけられる。 「ああ、駄目だよ。まだ髪、濡れてるじゃん」 急いで追いかけると、ユーリの部屋は空いていた。 どうしてそんなに素直じゃないんだろう。 入っていい合図だと理解して部屋に入る。 「ほら、雫が垂れてる。ドライヤーは?」 「髪が痛むから嫌いです」 ……可愛い。
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