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見開いた瞳はやがてゆっくりそらされ、その瞳は閉じられる。
ユーリは唇を指でなぞると、少し考えてから此方を見上げた。
時間にして数秒だったかもしれない。
なのに長い時間そう見つめあっていたかもしれない。
返事は要らない。
その瞳さえ見れば、言葉なんて要らなかった。
「ユーリを貰うから」
どんな豪華な物でもユーリが欲しいと言うならば用意したいし、どんな物でも捧げたい。
俺の全てをあげる。
だから、傷も痛みも、その甘い体も。
全部、全部、ちょうだい。
全部食べさせて。
「……一時間もしないで、兄が帰るかもしれません」
だから、とユーリは少し起き上がり、俺の首に手を回した。
「続きは週末に」
そう言って、するりとパジャマがはだけ、白い肩が浮かぶ。
「じゃ味見だけ」
軽い口づけをすると、ユーリは薄く口を開いた。
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