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「南野って、あのラグビー部の部長の?」
「はい。弟です」
こんな可愛らしい容姿であの南野くんの弟なのか。
「でも、加賀美先生も一緒に送ってくれたら助かります」
「嫌です」
清々しくはっきりときっぱりと言われて、南野弟くんは目を丸くした。
「…………」
「…………」
「…………」
じっとつぶらな瞳で加賀美先生を見つめる南野くん。
俺も一緒に圧力をかけるように見つめる。
それを断固拒否するかのように背を向ける加賀美先生。
3人は暫し無言だったと思う。
「あ、じゃあ酔った時に何をしたか南野兄に説明してきてあげましょう」
そうすれば加賀美先生に付きまとわずにすむかもしれない。
「は?」
「加賀美先生が困っているみたいですし。任せて下さい」
「……………」
ギリギリと歯を食い縛る加賀美先生は、素直で単純な人だと思う。
「じゃ、行きますか。南野くん」
「はい。あ、楪って呼んで下さい、せんせぇ」
「生徒は名字で呼ぶと決めてますので」
二人で玄関に向かっていると、唸るような小さな声がした。
「……俺も行ってやる」
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