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愛しくて愛しすぎると切なくなるのは何でだろうか。
本当にこの気持ちが伝わってるのかと思うと焦れてしまう。
だから俺たちは身体を繋げてしまうのかもしれない。
恋い焦がれて苦しくて。
「ちょっとリンちゃんに用があるので先に帰って下さい」
駅に差し掛かった時、ユーリにそう言われた。
リンちゃんというあのハーフが滝澤教授の恋人だとは分かったが、さっきまであんなにイチャイチャしてたのに先に帰れとはつれなさすぎる。
「待ってまるよ」
「時間かかりますから」
「……離れたくない」
手を掴み、強く握ると深い溜め息を吐かれた。
「――良い子にしてて下さいね」
駄々をこねる子どもに言い聞かせるように微笑むと、駅に消えていく。
その後ろ姿を見ながら、抱き締めたくて抱きたくて切ない。
あの華奢な背中で一人生きていこうと考えていたなんて。
――俺がいなきゃ生きていけないぐらい夢中にさせてやる。
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