諦めてキスをしよう。

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「?」 「新婦が玄関で躓かないように、お姫様だっこして入るんだよ」 「…………」 そう言って、俺は両手を広げたけど。 『――は? 30にもなろうとしている俺が、 そこまで女らしくもない体の俺が、 浩二にお姫様だっこされて家に入る?』 と言わんばかりの呆れた顔でユーリが俺を見ている。 口を開けて、心底驚いている。 嫌がっても無理にでもするつもりだったが、 ユーリの反応からして強引にした方が――……。 「け、ケーキとシャンパンが重いのでダメです」 かぁぁっと耳まで赤くして言う。 そんな、どうでも良い言い訳じゃあ、煽ってるようにしか聞こえなかった。 まずまずの反応だ。 ユーリの手からシャンパンとケーキを奪い、床に置くと、強く抱き締めた。 「っ」 驚いたユーリが身体を押してくるが、もう遅い。 簡単に足の後ろへ手を回し、ふわりと持ち上げた。 「さぁ、首に捕まって。俺の可愛い恋人さん」
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