エピローグ。

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まな板をトントンと包丁で音を立てるのは、大根の味噌汁を作っている浩二だ。 その横でウインナーやベーコンとほうれん草のソテー。焼き魚をグリルで。オーブンにはプリンが焼かれている。 朝から甘い自分の弁当に俺の弁当に朝食にと、手際よく作られている。 白いフリフリのついたエプロンは、教授から引っ越し祝いに貰った奴だが、俺は料理しないので浩二にあげた。 浩二は俺が着ないことに落ち込んでいたが見えないふりをした。 結婚祝いにはよくわからない道具やナース服やらをくれたのでリンちゃんに返しておいた。 優雅に御味噌汁の匂いが漂う中、珈琲を味わいながら言う。 「檜山学園長に会って『浩二の嫁です』と伝えておきましたから」 箸を音もなく落とす浩二の動揺っぷりは面白いけど我慢した。 「俺が加賀美病院の息子だから、怒るに怒れない感じで面白い顔をしていました」 「そう……。何か嫌な目に合わなかった?」
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