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俺はその手を捉えて、笑う。
「檜山先生は朝、遅刻した事ありますか?」
「ないね。俺は仕事には手を抜かないから」
それを聞いて、嬉しくなる。
「じゃあ、今日が初めての遅刻ですね」
「え?」
「二人で遅刻したら、あの馬鹿兄弟ぐらいは勘づきますかねぇ」
デザートに並べられていたフルーツから林檎を取り、半分だけ口に咥えた。
「ん」
口から出ている残り半分を浩二に突き出した。
良い子な浩二はすぐに理解して、耐えるように視線をそらす。
仕方ないから、掴んだ手の指と指の間に人差し指を侵入させたり、手の甲を擦って遊んでみる。
「……ユーリ」
「ん」
浩二の諭すような口調と悩ましげな声が
少し首を傾げてみる。
可愛いらしいフリフリエプロンもくいくい引っ張ってみた。
「あー、もう! ユーリ」
「……ん」
浩二は観念したように屈むと、俺の後ろ頭を掴み引き寄せるたと、咥えていた林檎を口に咥えた。
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