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「俺に殺されたいんですか? お前は」
「ううん。先生を押し倒したいだけです」
扉の横をすり抜けようとしても、南野兄のディフェンスで全く抜けられず苛々している加賀美先生はなかなか可愛らしい。
「残念ながら、先生はこれからもずっと俺と食べるので南野くんは帰りなさい」
「うわっ 居たのかよ」
明らかに怯えた様子の南野兄に少しだけ優越感を覚えた。
「早く、行きなさい」
「諦めませんから! 檜山が居ない日は俺が一緒に食べるから! 予約したからな!」
そう捨てセリフを言うと、あっさりと南野兄は逃げて行った。
「さ、加賀美先生。選んで下さいよ? 優しい同僚と食べるか、ガキに食べられるか」
パンケーキの最後で、タッパの蜂蜜を掬いながらそう聞いてみた。
加賀美先生はこれぐらい逃げ場がないぐらいが、丁度いいみたい。
――追い詰めたくて、ゾクゾクする。
「キスしようとしないで下さいね」
「仕事場ではしません」
にっこり笑うと、加賀美先生はピキピキと青筋を立てて震えた。
まずはどんな形であれ、君の心に侵入させて貰いましょうかね。
――加賀美先生。
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