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「せんせぇ、僕寝不足なの。寝かせてー」
「――いい加減、夜遊びを止めなさい。クソガキ」
ソファで具合が悪そうに此方を見る南野弟に、キッパリそう言うと、追い払う。
「やーん。待ってよー。お昼休みだけでも寝かせて! 檜山先生が毎日お昼休みに来るのはリサーチ済みなんだからね!」
プリプリとなぜかこいつが怒っているが知るか。
「じゃあ檜山先生ごと帰りなさい。目障りだ」
「えー。酷いひどーい!」
小動物のようにちょこちょこした動きを見せるが、パッと見が女みたいな顔のせいで全然可愛いと思わない。
寧ろ、苛々してくる。
「こら。先生を困らせませんよ」
ひょっこりドアを開けて現れた檜山に、更に苛々する。
こいつのどら焼きやらパンケーキやらおはぎやらのクソ甘いケーキも腹が立つがまだ我慢できる。
「お兄さんと仲良く食べたら良いじゃないですか」
「んもう! 先生の意地悪……」
バタバタと追いかけて欲しそうに駆け出した南野弟を気にもせず、檜山は俺に笑いかけた。
「あの兄弟は本当に困りますね」
甘く笑って油断させようと企んでいる。
――こいつの狙いは一体何なんだ?
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