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最近、実はこっそり睡眠薬を増やしている。
俺を溺愛する両親が心配してくれたから、甘えさせて貰った。
学校の保健室だと言うだけで、
三人組の女が廊下の向こうから歩いてくるだけで、
――笑い声を聞くだけで。
吐き気がして気分が悪くなる。
苦い薬を綺麗な瓶に摘めてポケットに仕舞い、
それを握りながら煙草を吸うと少しだけ落ち着く。
なのに最近は、檜山や南野兄が来る。
あの時の、女たちみたいに、
俺を見る視線が他とは違う。
檜山はその中でも更にやっかい。
身体じゃなくて、心まで侵入して来ようとするから。
「……本当に気分が悪くなってきた」
なかなか深い眠りにつけない日々に、緊張感に、
俺の心は蝕まれていく。
たった数ヵ月だけの我慢だけれども。
フラリと揺れる風景。
頭の奥がツーンと痛くなるのを感じる。
今日は、面倒な奴が来ませんように。
そう思いながら、目頭を押さえた。
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