4235人が本棚に入れています
本棚に追加
/405ページ
「悔しかったら、ちょっとは俺に甘えて下さいね」
れろっと指先を下から上に舐め上げると、人差し指を口に含んだ。
男なのに酷く色気を漂わせ、艶かしい音を立てながら。
「――その食べ方、変ですよ」
「そうですか?」
更にシュークリームに手を伸ばして笑う。
口についたクリームを、赤い舌で掬い上げながら。
「ケーキ以上に甘い物ってあるんですかね? 指まで甘くしてくれるケーキよりも」
ぺろぺろと舐めながら、ゆっくり食べる。
舌で掬い上げる時、俺から視線を逸らさずに。
――こいつは何がしたいんだ。
なんでそんなに挑発的に見てくるんだ。
「さ、砂糖でも食べてれば良いのでは?」
「ふふ。それ、生徒にも言われました。まぁ最終手段でたまにするんですよ」
……砂糖でも主食にしとけ。
そう悪態つきたいのに、ざわざわ心が落ち着かないせいで、うまく声が出なかった。
「お腹だけじゃなくて心も満足したいんです。心を満たす甘い物」
そんなの、俺が分かるはずないだろう!
最初のコメントを投稿しよう!