七粒  侵入ーSide加賀美ー

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分からなく、なる。 こいつはふざけているのか真面目なのか。 「先生、今から体育で怪我する予定だからベット開けといて!」 保健室の鍵をかけていると、何とも馬鹿げた声をかけられて殴りたくなる。 「怪我する気満々なら体育なんか休め。馬鹿か」 「先生、帰るの? ――真っ青じゃん」 「ああ。怪我をするならご自由に」 「気をつけてね?」 心配そうにそう言われると、ガキにまで心配かけてしまうのかと苛々が募る。 「うるさい。怪我、すんなよ」 そう睨み付けると、凄く嬉しそうな顔をしやがった。 「先生が心配してくれったぁぁぁぁぁ!!!!」 廊下をクラウチングスタートして走り抜けていく南野兄をただただ睨み付ける。 「青春ですね」 「……さっさと車まで案内して下さい」 何故かちょっと気まずい空気の中、車に乗り込んだ。 自宅までの10分が、遠く感じる。
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