八粒  決戦夜 ―檜山―

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それにしてもこれは、酷い。 答案用紙を見ながら、今日の授業中に眠っていた加賀くんの姿を思い出した。 風に揺れる前髪、こくりこくりと顔を動かしては慌てて頬を叩く、必死さ。 加えて、英単語の小テストの分からない単語を『スイーツ』だの『ホットケーキ』だの甘い物ばかり書く悪気の無さ。 採点中にお腹が空くなんて。 早く終わらせて、加賀美先生が逃げる前に車に乗せなきゃいけないのに。 大切な親睦を深める金曜日なのに。 「加賀くん。ちょっと来なさい」 下駄箱でもたもたしている加賀くんを捕まえる。 明らかに『ヤバイ』と顔を真っ青にする加賀くん。 あーあ。加賀美先生もこれぐらい素直だったら良かったのに。 「先生が言いたい事、分かりますよね?」 「し、新作ケーキの事かなぁ~~。あはは」 「それは後でじっくり聞きますね。それより」 小テストの点数を見せつけながら言いました。 「次、こんなふざけた点数を取ったら分かってますね?」 「ひ~~」 あわあわしている加賀くんを苛めたら少しだけ溜飲が下がった。 この調子なら、加賀美先生と落ち着いて語れそうだ。
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