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加賀くんみたいな素直さを半分貰えば、加賀美先生も可愛らしいのに。
加賀くんも加賀美先生のクールさを少し貰えば、……いや。
加賀くんはまだあの可愛らしいままでいいや。
加賀美先生みたいな人は一人で十分。
「何をにやにや笑ってるのー? 先生」
「……南野くん」
「南野って呼んだらお兄ちゃんと被るじゃん。下の名前で呼んでよーう」
「――こんな時間に、職員玄関で何をしてるんですか?」
部活生か3年なら分かるが、一年はとっくに帰っている時間に。
わざとボタンが開けられ乱れた着衣。
首筋につけられたキスマーク。
――この子は本当に何をしてたんだか。
「先生、露骨ー。僕の首見て、ムラムラしちゃった?」
「範囲外ですよ」
誘うように笑うあどけない少年に、拒絶するように笑いかけた。
「俺は、生徒は青春時代を快適に過ごせるように援助するだけです。生徒には一ミリも恋愛感情は持ちませんよ。今後期待しないで下さいね」
「えー」
「あと、自分の体を大切にしなさい。悩みなら聞きますから」
南野弟は少し考えてから、上目使いでこちらを見上げた。
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