八粒  決戦夜 ―檜山―

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加賀くんみたいな素直さを半分貰えば、加賀美先生も可愛らしいのに。 加賀くんも加賀美先生のクールさを少し貰えば、……いや。 加賀くんはまだあの可愛らしいままでいいや。 加賀美先生みたいな人は一人で十分。 「何をにやにや笑ってるのー? 先生」 「……南野くん」 「南野って呼んだらお兄ちゃんと被るじゃん。下の名前で呼んでよーう」 「――こんな時間に、職員玄関で何をしてるんですか?」 部活生か3年なら分かるが、一年はとっくに帰っている時間に。 わざとボタンが開けられ乱れた着衣。 首筋につけられたキスマーク。 ――この子は本当に何をしてたんだか。 「先生、露骨ー。僕の首見て、ムラムラしちゃった?」 「範囲外ですよ」 誘うように笑うあどけない少年に、拒絶するように笑いかけた。 「俺は、生徒は青春時代を快適に過ごせるように援助するだけです。生徒には一ミリも恋愛感情は持ちませんよ。今後期待しないで下さいね」 「えー」 「あと、自分の体を大切にしなさい。悩みなら聞きますから」 南野弟は少し考えてから、上目使いでこちらを見上げた。
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