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「夜、檜山先生を想像すると身体の芯が熱くなるんです……」
プシュウー……
口から魂が抜けていくかと思った。
今時の子は、こんなに開けっ広げに自分の事を正直に話してしまうものなのか。
「君は可愛らしいから、同年代のクラスメイトにも目を向けて下さい」
「ガキはタイプじゃなーい」
「そうですか。じゃあ運動。部活に入り身体を動かしましょう」
「――僕、喘息だから激しい運動、無理ですぅ」
指で×を作って、舌を出す南野弟。
頭痛がしてきそうだ。
こいつ、先生をからかって面白がりたいんだろうなあ。
「じゃあ、真面目な悩みができたらまた」
親身になる必要のない悩みにため息を溢しながら、さっさと靴を履く。
「ええー。待ってよ。待ってー」
まだ南野弟が何かを言っていたが、振り返らずに車に乗り込んだ。
色んな生徒がいると勉強にはなるものの、苦笑しか浮かばない。
だが、
『檜山先生を想像すると身体の芯が熱くなるんです』
大胆な発言だが、男が男に言うには勇気がある発言だ。
俺が加賀美先生に抱く感情と、南野弟が抱く感情に、
何が違うと言えるのだろうか。
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