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始まりは、シュークリームだった。
副担をしているクラスの加賀という生徒の家のシュークリーム。
中がカスタードや抹茶クリーム、スイートポテトと三種類が期間限定で出たらしく、持ってきてもらった事が始まり。
だって職員室の冷蔵庫に入れたら、お土産と間違えられてジャンケンで奪われるか、3つも買って誰にもあげないとかも気前が悪いんだから。
「加賀美先生、保健室の冷蔵庫お借りして良いですか?」
後ろ手にシュークリームを隠しながら、保健室の加賀美先生の元へ行った。
加賀美先生は面倒そうに顔をあげて、冷蔵庫を指差す。
「どうぞ。――薬品には触らないで下さい」
そう言うと、また作業に戻る。
怒られるか無視されるかと思ったから嬉しくて、嬉々として冷蔵庫に入れた。
ここならば、誰も見に来ない。獲られる心配もない。
毎日通えば、加賀美先生も気を許してくれるかもだし。
あんな綺麗な顔が笑わないのは勿体ないから。
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