第1話 小さな猫の物語

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そんな中ある日衝撃的な事件が起きた。 二代目トラも姿を消してしまったのだ。 「従業員Aがトラをおもいっきり蹴っとばした」 その一部始終を見ていた従業員Bが言うにはトラが会社の倉庫にあった商品におしっこをしてしまい、 それを見たAは思いっきりトラの横腹を蹴りつけたらしい。 トラは「ギャー」と叫んで遠くのほうへ逃げってしまったと深刻な顔をしてBは言った。 その事実を母は知らない。 私は黙っていた。 母はときおり会社の外を眺めながらトラの行方を心配していた。 私も時間を見つけては、会社の近辺をくまなく探したが、見つからない。 従業員Aに怒りをぶつけたかったが、あの事件後から会社に来なくなった。
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