きっかけ

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「瑠奈ァ、瑠奈の好きな苺タルト奢るから、お願いします!」 ん?苺タルト? ピクッと耳が反応して、逃げようとしたのに止まってしまった。 「瑠奈、好きでしょ、苺タルト。それ、好きなだけ食べていいからさ」 好きなだけ? 頭の片隅で、私は苺タルトに囲まれているのを想像した。 その間の蒼真の行動は早かった。 「ハイ!これ、カメラ。貸してあげる。瑠奈、イケメン大好きだしきっと楽しいと思うよ。じゃあね」 蒼真は、気づいたらいなくなっていた。 「……苺タルト」 呟いた瑠奈の声は、勿論、蒼真に届くはずもなく静かに教室に吸い込まれていった。
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