第9話

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そして、いよいよ採卵の日。 朝から主人に頼んで専用のプラスチックの容器に採精してもらいました。 前日の夜に、 「明日の朝お願いします」 と頼んだのですが、お互いとても気まずい感じでした。 主人もできれば避けて通りたいことだったに違いありません。 それでも、翌朝、出勤前に用意してくれました。 それを持ってクリニックへと急ぎます。 満員電車の中で容器を倒してはいけない、 手で握りすぎて温めすぎてはいけない、と必死でした。 害はないとはいえ、ある意味、危険物です。 周りの方に迷惑がかからないよう、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。 もうすぐ会える。 採卵の際の痛みを考えると少し憂鬱でしたが、 期待の方が、はるかに上回っていました。
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