お嬢様は実はツンデレ?

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「どこって…とても私の言葉では語りつくせないほどですわ。 私があの方をお見かけしたのは、3ヶ月前の、始業式の日のことです。 私が、始業式の帰り、学校の近くのため池公園の前を通りがかると、 見事なまでに満開の桜の木の下に、あの方がいらっしゃったのです。 あの方は、地面に足を伸ばして座り、 膝の上に本を広げたまま、桜の幹に寄り掛かって、眠っていらっしゃいました。 陶器のように白い肌、整った上品な顔立ち。 長い睫毛は、目の下にうっすらと影を落としていました。私は、あまりの美しさに心を奪われ、その場に立ち尽くしてしまいました。 突然、あの方が目を覚ましたとき、 私は頬がカーッと燃えるように熱くなるのを感じ、走って逃げたのです。 家に帰ったあとも、あの方のことを考えると、 心臓が急にどきどきして、胸が締め付けられるようでした。 どうすればあの方にもう一度会えるのかということばかり考えていたら 、今朝、偶然、糀谷さんとご一緒のあの方を見かけたのです」 「つまり、加古川さんは、入学式の日から、アイツに恋…」 ああ、言わないで!恥ずかしいから、と駒子の口はまたもや加古川さんによって塞がれた。 「ねえ、加古川さん、 遠くで見ているだけなんて、もったいないでしょう。 こうなったら、さっさとお近づきになっちゃうのよ!」 「でも、どうやって?」 「今週の土曜日の、加古川さんの誕生日パーティーにアイツを招待するのよ。 パーティーだったら、他の人の目もあるし、アイツと一対一で話すより、気楽に話せるはずよ。 きっと、加古川さんとアイツが上手くいくように、私、協力するわ!」 駒子は加古川さんに、にっこり笑いかけた。 「糀谷さん、ありがとう。わたくし、糀谷さんみたいな、心優しいお友達がいて幸せだわ!」 駒子は、すっかり駒子のことを信じきっている加古川さんと抱き合いながら、 協力とは、まったく別のことを考えていた。
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